先日、配達先で事故があり、幸い人がおらず軽い事故にで済みましたが、一つ間違えると大事故になっていた可能性がありました。
原因は「サイドブレーキのかけ忘れ」によるものです。
ドライバーは車から降りてコンテナ扉を閉めようと車両の後ろ側へ移動したところ車両が進みだし、そのまま倉庫の壁に追突してしまいました。
実は、この「サイドブレーキのかけ忘れ」がトレーラーに関しては結構あります。
というのも、トレーラーの場合、ヘッド(トラクタヘッド)とシャーシ(トレーラー)に分かれていて、シャーシ単体では常にブレーキがかかっている状態です。連結してもヘッドのエアーホースをシャーシに繋がない限り、シャーシのブレーキはかかったままで解除にならないからです。
ですので、ヘッドをシャーシに接続してエアーホースを繋ぐまではブレーキがかかっている状態で動かないので、ドライバーはサイドブレーキを引いているものだと勘違いしてしまいます。
「いやいや気づくやろう」と思うかもしれませんが、これが実際に多いです。
サイドブレーキをかけずにドアを開けると大音量でブザーがなる車両もありますが、全車両がそうではなく、割と静かな音の車両もあったりさまざまです。
そこでこの記事では、この「サイドブレーキのかけ忘れ」による事故を防ぐために実際に僕が実践している事を解説しようと思います。
トレーラーのブレーキの仕組み
トラックやトレーラーのブレーキはエアーブレーキ
一般的に4トン車以上のトラックのブレーキは、乗用車の油圧式とは違い、空気の力を利用してブレーキをかけています。
簡単に言うと、油圧式(乗用車など)よりも強力になるので、重量物を運ぶトラックなどに使われているんですね。
他にも、クラッチやミッション、サスペンションなどもエアーを使っているので、空気がないと致命的です。
トラックやトレーラーヘッドにはコンプレッサーという空気を作る装置が付いていて、ここで作られた空気がエアータンクに溜められていき、そこから各装置へエアーが送られていきます。
エマージェンシーブレーキ
シャーシのブレーキは、ヘッドを繋いでいない状態ではエマージェンシーブレーキという緊急ブレーキがかかっています。(厳密にはエアーホースを繋いでいない状態)
ヘッドからのエアーの供給がなくなり、シャーシのエアー圧が低下すると自動的に作動するもので、万が一の連結が外れたりした場合のシャーシ単体で暴走するのを防ぐためです。
逆に、ヘッドのエアーホースを繋げるとエアーが供給され、シャーシのブレーキも解除されます。

こんな感じですね↑
エアーホースの種類と役割

赤色→エマージェンシーライン(サプライライン)
ヘッドからシャーシへ常時エアーを供給するためのホースです。
このホースをシャーシに繋げるとシャーシの緊急ブレーキが解除されます。
このホースが外れたりしてシャーシへのエアーの供給が止まると、シャーシの緊急ブレーキが作動します。
切断されてエアが止まらない場合は、ヘッド内のエアーもなくなり緊急ブレーキが作動する為、走行ができなくなります。(年式による)
・黄色→サービスライン(コントロールライン)
ヘッドのブレーキ操作に合わせてエアーをシャーシに送り込むためのホース。
このホースを繋げる事によって、シャーシのブレーキをヘッドでコントロールできる状態になります。
このホースが外れたり切断されると、シャーシにエアーが送り込まれないので、ヘッドのブレーキしか作動しない状態になり非常に危険です。

こんな感じです↑
サイドブレーキをかけ忘れると、ホースを繋いだ瞬間車が動きだす
冒頭で書いた、サイドブレーキのかけ忘れによるトレーラーの事故の原因が、この「エアーホースを繋げると車が動きだす」です。
ヘッドとシャーシを連結する
↓
サイドブレーキをかけずに降車
(シャーシはホースを繋いでいないのでブレーキがかかっている状態)
↓
エマージェンシーホース(赤色)を繋ぐ
↓
シャーシのブレーキが解除になり車が動く
アウトリガー(脚)が出ている状態なら、そこに荷重がかかっていて動かない事もありますが、連結作業時では、ある程度エアサスでヘッドのお尻を上げて、アウトリガーにかかる荷重を抜いておかないとアウトリガーのハンドルが重くてまわりません。
荷重が抜けているアウトリガーは少々地面に付いているところで、勾配がきつければ引きずって動いていくことがあります。
サイドブレーキのかけ忘れによる事故を防ぐ3つのポイント

では、このような事故を防ぐにはどうすればいいか?
一番はもちろん「サイドブレーキを引け」です。
停まったらサイドブレーキを引くのは当たり前なんですけど、当たり前すぎて意識しなくなってしまうことがあるので、慌てたり、考え事や電話などしていたりすると、サイドブレーキを引き忘れてしまうんですね…
なので、ここからは僕が実際に行っている連結作業でのポイントをお伝えします。
- 黄色ホース(サービス)を繋げるときのエアー音を聞く
- 赤色ホースを繋いだ時の車の揺れや動きを確認
- 信号待ちなどでもサイドブレーキを引く癖をつける
ポイントはこの3つです。
黄色ホース(サービスライン)を繋いだときのエアー音を聞く
ヘッドをシャーシに繋いで降車し、黄色いホースを繋ぐ際は、「エアーの音を聞いてください」
繋ぐときにエアー音が「プシュッ」と聞こえればヘッドのサイドブレーキがかかっている状態です。逆に何も聞こえなく、「スコッ」っと入れば、ヘッドのサイドブレーキはかかっていない可能性があります。
もし、エアー音がしない場合は一度ホースをゆっくり外してみてください。ヘッドのサイドブレーキがかかっていれば、その時に「プシュッ」と音がします。
ここで何も音がしなければ、ヘッドにサイドブレーキを確認しに行きましょう。
赤色ホース(エマージェンシーライン)を繋ぐ時は車の動きを確認
黄色ホース(サービスライン)でエアー音を確認したら、次は赤色ホースを繋ぎます。
この時、シャーシの緊急ブレーキが解除になるので、サイドブレーキがかかっていないと車が動きます。
繋いだ直後はすぐに動かず、一旦車の動きに注意してください。
この時、車が動いたら素早くその場で赤色ホースを外してください
緊急ブレーキがかかり、車が止まります
サイドブレーキを引く癖をつける
駐車時のサイドブレーキはもちろんですが、普段から信号待ちなど、止まったらサイドブレーキをかける癖をつけてください。
この3つでサイドブレーキの引き忘れによる事故は防げます。
まとめ

以上、サイドブレーキのかけ忘れによる事故の予防について解説してみました。
このサイドブレーキのかけ忘れでの事故やヒヤリハットを今までちょこちょこ聞いたので今回取り上げてみましたが、僕が知っているだけでも結構な数なので、業界では割と多いと思われます。
ただ、ドライバーがすぐに気付いて車を止めているので笑い話で済んではいますが、ひとつ間違えれば、人を巻き込んだ大事故になりかねません。
事故防止のポイントは
- 信号待ちなど、止まったらサイドブレーキを引く癖をつける
- 黄色ホース(サービスライン)を繋ぐときはエアー音を聞く
- 赤色ホース(エマージェンシーライン)を繋いですぐは車の動きに注意する
この3つでサイドブレーキのかけ忘れによる事故は防げます。
あと、これに付け加えるなら、「慌てないこと」と「集中すること」です。
こういうミスをする時は、大体この2つの内どちらかが絡んでいることが多いです。
他の記事でも言っていますが、「何事もなく1日を終える」は大切で当たり前ではないので、どうか意識していただいて、気分良く仕事をしていただければと思います。
では、ご安全に!



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